KING(キング)は、漫画『北斗の拳』、およびそれを原作としたアニメなどに登場する架空の軍団である。軍団の長・シンの自称する称号をその名に冠している。
本稿では構成人員に加え、本拠地であるサザンクロスについても併せて解説する。
概要[]
ケンシロウから許婚のユリアを奪ったシンが作り上げた軍団である。KING軍とも呼ばれる。本拠地はサザンクロス。関東一円を支配する一大勢力として物語の序盤に登場し、ユリア奪還を目指すケンシロウの行く手を阻んだ。南十字星を象った十字の紋章「ブラッディークロス」を旗印などに使用しており、これは左側に交点がある横長の十字である。その構成はトランプのマークにちなんだ名前の各部隊に分かれ、それぞれのトップが「スペード」などマークの名前で呼ばれている。
アニメ『世紀末救世主伝説 北斗の拳』では多数のオリジナルキャラクターが登場し、原作ではシンとの戦いのあとに登場した「GOLAN」や「ジャッカル一味」といった勢力もシンの配下となっている。
構成[]
※特筆なき場合、キャストはテレビアニメ版のものである。
主要人物[]
ジョーカーとバルコム、ナリマンはテレビアニメオリジナルキャラクター。
- シン
- 声:古川登志夫、桐本琢也(新OVA・新劇場版)、杉田智和(北斗無双)
- 南斗六聖拳「殉星」の男。ケンシロウに七つの傷を付けて許婚のユリアを奪い、KINGのボスとして君臨した。
- スペード
- 声 - 玄田哲章、米田直嗣(格闘ゲーム)
- 最初にケンシロウと対峙した男。ケンシロウ曰く「ハゲ(ヤロー)」。ボウガンを使ってケンシロウを狙うが、「二指真空把」で跳ね返されて右目を潰され、一方的な恨みを抱くようになる。その後、自らが襲撃した村でケンシロウと再戦するが、ミスミを殺した事に激怒したケンシロウの「北斗残悔拳」を受けて3秒後に「死に たわっ」と断末魔の叫びを遺して上半身が真っ二つに裂けて爆死。
- アニメでは7秒に変更され、死ぬまでの間に悲鳴を上げのたうち回るスペードの横にタイムカウンターが表示され、カウントダウンする演出がなされていた。
- ダイヤ
- 声 - 郷里大輔、西本理一(格闘ゲーム)
- 顔に歌舞伎のような隈取を施しており、大振りの棍棒を自在に扱う棒術使い。ケンシロウ曰く「くまどりやろう」。実はスイカ大の石を噛み砕くほど顎の力が強い。ケンシロウをおびき出すために近隣の村人を無差別に処刑していたが、当のケンシロウに発見され「交手破顔拳」で目・鼻・口から血を噴出して死亡。本人は「スペードなどとは格が違う」と自信を見せたが、「バケモノはバケモノ小屋で寝ていろ」と言われ、自慢の棒術もケンシロウに「スロー過ぎてあくびが出る」と酷評された。だが、実はかすり傷とはいえ原作で初めてケンシロウに流血をさせた技でもある。
- アニメ版ではハートよりも先に「ひ、で、ぶぅ〜!!」という断末魔の叫びを上げている。
- クラブ
- 声 - 戸谷公次
- 長身痩躯で巨大なかぎ爪を付けている。ケンシロウ曰く「カマキリ」。サザンクロスで余興半分に「修行」と称して奴隷を惨殺していたが、ケンシロウによって叩きのめされ、KINGの居場所を喋った後に秘孔の効果で背骨を折られて死亡。「一瞬でも俺の体に触れることができたら町から出してやろう」と言いつつ、いざ触った者には「家畜の分際でこの俺の体に触りやがったな」と意味不明な自論で惨殺しておきながら、ケンシロウに秘孔を突かれ、助けてもらえないと分かると「そ…そんな!や、約束がちがう!」と言い、ケンシロウに「お前が一度でも約束を守ったことがあるのか」と切り返されていた。
- アニメ版では蟷螂拳の使い手とされ、惨殺の理由も「サザンクロス脱走未遂者の処刑」に変更されている。また、ケンシロウに「助けてくれ」と命乞いするも「村人達もそう言ったはずだな」と切り返され、「はべぇべ〜!」と叫びながら死亡する。
- ハート
- 声 - 飯塚昭三、滝口順平(86年劇場版・PSゲーム版)、藤本たかひろ(北斗無双)
- 原作に登場するシン配下の幹部では最強の男で、狂乱の屠殺人。ケンシロウ曰く「ブタは屠殺場へ行け!」。笑い方は「ブッヒッヒッヒッヒッ」。
- 外見は極端な肥満体で、上半身には刺のついたサスペンダーと肩当しか身につけていない。モデルはプロレスラーのアブドーラ・ザ・ブッチャー。額の左部にはトランプのごとくハートのマークとK(アニメではJ)の刺青が入っている。普段は温厚な性格で紳士的な口調で語りかけ、バーのマスターに乱暴を働くクラブの配下(アニメでは野盗)をたしなめる一面を持つ。しかし、ひとたび自分の血を見ると「いてえよ〜!!」と逆上して周囲の人間を皆殺しにしてしまう悪癖がある。
- ハートの豊満な腹部はどんな衝撃も吸収する特異体質で北斗神拳をも無効化する「拳法殺し」の異名を持ち、彼を倒すことのできる者は、いかなるものも貫通する南斗聖拳の使い手であるシンのみとされていた。ケンシロウと対決した際には北斗神拳を「へなちょこ拳法(アニメ版)」と侮辱して一度は窮地に追い込むなど善戦したが「北斗柔破斬」を食らって死亡。断末魔の叫びは「ひっ!ひでぶっ!!」。
- 復刻版では狂乱の殺人者とされている。また、ケンシロウがハートに言い放つセリフも復刻版では「ブタはブタ小屋へ行け!」、最新コミック版では「ブタと話す気はない!」など、刊行された版によって変更がある。
- テレビアニメ版での設定は原作に準じるがオカマ語でナヨナヨと喋るので外観とのアンバランスさが一層異様さを醸し出していた。また、部下に一般人の処刑を命じておきながらその様子を見て残虐さに目をそむけるといった描写も追加された。ケンシロウとの対戦時における設定変更は、原作ではシンが傷を負わせて逆上させていたが、対決の舞台がシンの居城ではなくなったため、シンの命を受け、隠れて様子をみていたジョーカーが傷つけ役となった。
- 東映による旧劇場版では、シンではなくジャギの部下として登場してケンシロウに対して丁寧語で話していた。なお旧劇場版ではシンの部下(=トランプ札に関連する名前)という設定の制約がないため「エレファント」というオリジナルの名前で登場する予定であったが、結局は原作通りの「ハート」に戻された。だがエレファントという名前は完成直前まで使用されていたようで、劇場用予告編では「ケンシロウVSエレファント」というテロップがそのまま使用されていた。
- タイピングソフト激打3や格闘ゲーム北斗の拳などでは「ハート様」と表記されている。また、英語版でも「Mr. Heart」と唯一Mr.を付けて表記されている。ほとんどの北斗の拳のゲームに登場しているなど、悪役の中でも人気が高い。
- 北斗無双では原作どおりKINGの幹部として登場するが、幻闘編ではシンの章・最終話にてシンと相対する場面が存在する。ダウンロードサービスによりプレイアブルキャラとして使用可能となり、自身の腹を駆使した伝承奥義を使うことが出来、拳王侵攻隊のヒゲ男の得意技の火闘術まで体得している。
- 声優はTV版が飯塚昭三だったが、劇場版の滝口順平の方が有名になり、以後の音声付きゲームソフトなどは全て滝口が担当していた。だが2006年にリリースされたパチスロ機『北斗の拳SE』やセガの対戦格闘ゲーム『北斗の拳』では、飯塚が担当している。
- ジョーカー
- 声 - 千葉繁
- KINGの副官で参謀を務める細身の男。鳥の脚に掴まって飛行したり、あるいは瞬間移動のような術を駆使して、シン配下の軍閥・軍団を縦横無尽に操りケンシロウを幾度も追い詰めた。トランプを使った幻惑技を多用するなどして、ケンシロウとの直接対決を避ける傾向にあった。最後にケンシロウと意を決して対決、南斗翔天拳(アニメ版オリジナル拳法)で攻め通すが動きを逐一見切られて敗北。最期は「言うことを聞けば命は助ける」としたケンシロウの要求を突っぱねて死を選んだ。断末魔の叫びは「ひでぶ」。千葉繁にとって、ジョーカー役は北斗での初仕事であった。
- バルコム
- 声 - 加藤精三
- ジョーカーと同格のKINGの副官。泰山流拳法の使い手で呼吸法により自身の躰を容易に鋼鉄化できる。軍の総指揮官を任されて忠誠を誓っていたが、シンのあまりの傍若無人な態度からKING軍を乗っ取る事を決意する。幹部達を説き伏せ、その大部分を味方につけ、自身も「妖鬼幻幽拳」で挑むが、結局はシン一人の前に歯が立たずに死亡した。尚、シンへの裏切りを拒絶した幹部・ナリマンを殺すなど、彼もシンと同質の残虐な性格を覗かせている。断末魔の叫びは「げぼう゛ぁ、ばぼば!!」。
- ナリマン
- 声 - 大林隆介
- KING配下の幹部。バルコムがシンに対して謀叛を企てる秘密会議で彼以外の幹部全員が賛同したところを、1人だけ「KING(シン)がいなくなれば軍団はまとまりを欠く」と造反への加担を拒んだ。本人はバルコムのやり方に不満を抱いていたが、かといってシンに対する忠誠心がそれほど強いというわけでもなかったので告げ口をする気もなく、そのまま退席しようとしたが口封じのためにバルコムに始末される。バルコムの身体に鉄の爪や石像を叩きつけた上にナイフを突き刺して抵抗したが、いずれも泰山流拳法の呼吸法に阻まれ、躯を締め上げられて絶命した。劇中では名前が登場せず、関連書物で名前が明らかになった。
その他の正規メンバー[]
※ いずれもアニメオリジナルキャラクターである。
- ドラゴン
- 声 - 亀井三郎
- ギリシャ神話に登場するような服装の男で、南斗龍神拳という火炎を吐く大道芸のような闘術を使う。幻術使いのパトラと組んでケンシロウを襲うが、ケンシロウに「烈火逆流拳」という対ドラゴン専用のような技で爆死した。断末魔の叫びは「ぶぎ、べぇ、う゛あ〜!!」。
- パトラ
- 声 - 鳳芳野
- 魔女のような幻術使い。『北斗の拳』の全編を通して、仇役に徹した唯一の女性キャラクターでもある。湖に浮かぶ西洋風の城が住処。幻術技を駆使してケンシロウを追い詰め、最後には相棒のドラゴンとタッグで襲うがケンシロウに簡単にかわされてしまう。その直後に両眼に水晶玉を叩き込まれて視力を失ったところに、ドラゴンが吐いた南斗龍神拳の火炎が誤って直撃し火だるまとなりながら湖に落下した。
- コウモリ人間
- ドラゴンとパトラの部下。コウモリの翼と鋭い牙を持った怪人で人間の生き血を吸う。南斗聖拳の流れを汲む蝙蝠拳の使い手の二人組で、空中を飛び回りケンシロウを追い詰めるも、鉄骨の足場によって空中戦のハンデを克服したケンシロウに粉砕された。断末魔の叫びは「ば、げ、げ、げっぺ!!」。
- ダンテ
- 声 - 玄田哲章
- シンと共に南斗聖拳を学んだ男。南斗百斬拳の使い手。
- マッチョな体躯にポリス風の衣装を纏った男で、キスをする場面が多い。卑劣な計画でケンシロウの命を狙うが失敗、怒りに燃えたケンシロウの猛攻を受けて死亡、死体は噴火口に転落した。
- ザリア
- 声 - 森功至
- シンを「神」と表現する南斗暗鐘拳の使い手。街の大聖堂にある鐘の音を聞かせて特定の人物を真っ二つに切り裂いたり、死体の蘇生ができるほか、生きた人間を一時的にゾンビ化して操ることができる。暗鐘拳でリンや街人を操ってケンシロウを追い込み、北斗神拳で死んだ部下をも蘇生させ、再度攻撃させるなど善戦した。しかし、最期はケンシロウの「北斗百烈拳」を浴びて大聖堂の鐘に激突、さらに蹴り上げられ天井を突き破り、十字架に磔にされるとミイラのようになったうえ、落雷で真っ二つになって消し飛んだ。巨大なアフロヘアはカツラで、百烈拳を浴びている最中に外れて飛んでしまった。断末魔の叫びは「もー、ぎゃー!!」。
- ウルフ
- 声 - 屋良有作
- 重機を使った塊し屋(こわしや)軍団の指揮官。大きな鉄球が付いた工事用車両でケンシロウに挑むが、秘孔を突かれて爆死した。断末魔の叫びは「だうがう!!」。
- ヒドラ
- 声 - 矢田耕司
- 武装バギー部隊の隊長。サザンクロスへと向かうケンシロウ一行の行く手を阻もうとするが、返り討ちにあった。初登場時は白い肌でモヒカンの色はピンク色だったが、その後ケンシロウを狙って登場した際は何故か黒人になっていてモヒカンの色も青に変更されていた。
- トウダ
- 声 - 銀河万丈
- シルクハットを被った男で、拳法の心得はない。南斗列車砲の責任者。他にもヘリコプター部隊や昔の軍艦を改造した秘密要塞を指揮するなど、全般的に兵器部隊の指揮官であった。ケンシロウのために囮になったジェニファーを列車砲「ジョーカー・バルコム」で殺害するが、怒りに燃えたケンシロウに追いつめられ、秘孔を突かれて死亡した。
下部組織の頭目[]
※ いずれもアニメオリジナルキャラクター。ゴッドアーミー(原作のGOLAN)やウォリアーズ(原作のジャッカル一味)のように英語名の部隊を率いることから、正規のKINGメンバーではないと推測される。
- バロン、ジャンク
- 声 - 戸谷公次、幹本雄之
- バロンはスコルピオ軍団の頭領で、巨大な双頭の斧を振り回す南斗風車斬の使い手。
- ジャンクはスネーク軍団の頭領で、鞭を生きた蛇のように巧みに操って攻撃する南斗蛇鞭拳の使い手。
- お互いに仲が悪く、とある街の覇権を巡って対立していたが、ジョーカーの仲裁で力を合わせてケンシロウを倒すように命令される。だが彼らは命令を無視し、バロンはケンシロウを味方に引き入れてジャンクとの戦いを有利に進めようとするが、ケンシロウの作戦にまんまと騙される。
- 最期は両者ともに「北斗操筋自在拳」で強く抱き合い、動けなくなったまま爆死した。その様子を見てケンシロウは「似合いのカップルだ」と言ったが、本人達は最期までお互いを拒絶していた。
- ゴラス
- 声 - 渡部猛
- 部下は全員かつてスピードレーサーというサンダー軍団の指揮官。ボウガンを片腕で跳ね返すことができるが、拳法の心得があるかは不明。ジーナ村を襲撃し、ケンシロウに「この世に1つしかない戦車」で戦いを挑んだが、ケンシロウには敵わず戦車と共に爆死した。
- マハリ
- 声 - 玄田哲章
- ヘリコプター部隊のブラックバード軍団の隊長。ガレッキーに襲撃されたジーナ村へ向かうケンシロウの前に立ち塞がり、地上の攻撃が届かない空中から攻撃を仕掛けるが、自らが搭乗するヘリに跳び乗ったケンシロウに何でも言うことを聞くようになる秘孔を突かれて部隊を壊滅させられ、誘導役として酷使された挙げ句の果てに墜落死した。
- ガレッキー
- 声 - 野田圭一
- ゴールドウルフ隊の隊長。サーカスのような南斗人間砲弾の創設者。人間砲弾で部下と共にケンシロウを襲撃するが、部隊は簡単に粉砕される。その後ケンシロウによって北斗虚空斬で秘孔を突かれ、体の自由を奪われて動けなくなったところを人質を乗せた気球を落とすために必要な大砲の弾として発射され、砂漠の彼方へ消えていった。生死は不明。
- 襲撃作戦の真っ最中でもランチタイムになると休憩に入り、優雅に食事をしていた。「まずはスープ、食後にはコーヒーだ」とのセリフから食事には拘りがある様子。
サザンクロス[]
シンがユリアのために築いた街で、多数の人員を動員して作り上げたKINGの本拠地。『天の覇王 北斗の拳ラオウ外伝』では、サザンクロスタウンという呼称で登場する。シンは完成した街の全貌を自分の居城からユリアに見せ、その力を誇示したが彼女の心を動かすことはできなかった。
テレビアニメでは第5話でそれまでの本拠地から、新しく作り上げたサザンクロスに移動するという展開となっている。これにより、もぬけの殻となったシンの居城を訪れたケンシロウとそこに待ち伏せしていた幹部のジョーカーが対峙するシーンが描かれた。なお、この城はケンシロウ抹殺を図るジョーカーが地下にあるガソリンに引火したことで爆破された。ケンシロウはシンが移動したというサザンクロスの場所をつかめなかったが、ユリアの侍女・サキの兄でサザンクロスを脱走してきたテムジナの遺した言葉「緑の大地、悪魔の目」がヒントとなり、場所を特定できた。その言葉どおり、悪魔の目の形をした場所のちょうど目の中に位置している。その後、ケンシロウが向かう前にバルコムの反乱を発端としてKING内で同士討ちが始まると火を放たれ、街は灰燼に帰した。
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